ぽっかりと空があってそれを満たしてくれる人を求め続けていたのでしょう。
いいですか、パティ、と小さな子どもにするみたいに背を屈めて目線を合わしつつ、彼は言ったワケよ。 「お菓子をあげるとか言われても、知らない人について行っては駄目ですよ」 先に言った行動は、まあ、レディに対する礼儀と思って許す事もできるとして、でも次にウルルがこの私に言った事はどう考えても許せない種類の言葉だった。 ちょっと説明しておくと、ここはアメリカっていう国のホテルの部屋の中。 愛しのガッシュちゃんを探して世界中を旅して、今回は世界で1番沢山の人が集まるっていうこの国に来たけど、あの人はいなかった(他の探してもいない魔物とは闘いまでしたっていうのに)。それで今度は日本っていう国に行く為に、空港の近くのホテルに泊まることにした。まずは日本のトーキョーという所に行きましょうか、そこが日本の首都で、大勢の人がいますから、とウルルは言っていた。 部屋に荷物をまとめて(と言っても私達は大きな荷物は持ってないんだけど)、私が外に遊びに行ってくる、と言ったらさっきの無礼な発言が飛び出したのだ。 あのね、ウルル、と、私は自分が怒っているという事を理解させる為にいちいち言葉を区切った。 「あんまり、私を、子ども扱い、しないで、欲しいん、だけど」 出逢って間もなくの頃ならともかく、一緒にいるようになって4ヶ月も経つのにまだこんな事を言うだなんて。私はウルルを睨みつけた。いえ、そうではなくてですね、ウルルは慌てて(と言うほど慌ててなかったけど)左手を僅かに振った。 「私達人間から見てあなたはまだ小さな子どもです。人間の中にはあなたのような子どもを犯罪に導く者もいますので…」 「言いたい事は判ったけどね、『お菓子をあげる』っていうのは何よ!? 私がそんな言葉でホイホイついて行くと思って!?」 確かにウルルの言うように私は子ども。でも人間の子どもとは全然違うのよ。私は人間で言う所の6歳とか7歳とかの子どもに見えるらしいけど、私はそんな赤ちゃんじゃない、少なくともウルルの倍以上は生きているのだ。1番違うのは力だ。私を傷つけようとするバカな人間がいたとして、そんなヤツは逆に叩きのめしてさしあげられるというものだ。 「…パティは甘いものが好きじゃなかったですか?」 「好きだけど違うでしょう!私が言いたいのはそんな言葉で誰かについて行こうと思うほど、私は子どもじゃないってことよ!」 真顔で言うウルルに私は思いっきり腹を立てる。 まだ何か言おうと口を開いたウルルに背を向けてさっさと部屋を飛び出した。 「あ、パティ、ちょっと…!」 背後の声には聞こえないふり。運良くエレベーターのドアが開いていたのでもぐりこんだ。 大人が沢山いたうえにすぐにドアは閉まったので、私の名前を呼びながら追いかけてきたウルルの顔は見えなかった。 エレベーターが1階につくと私はすぐに走り出てホテルの外に出た。 この国は何て大きくて人がいっぱいいるんだろう。建物も大きくて、デパートなんかは売り場がいっぱい、みんな品物を手にとって乱暴に元に戻すから床には売り物が散乱、1番小さなアイスを頼んだってジャンボサイズ。この国に来てホテルに行くまでの数時間のうちでも、新鮮な驚きばかりだった。でもあの可愛い動物がいないことは、頂けない。オーストラリアではウルルが見に連れて行ってくれたのに。カンガルー。 ホテルの前の広場で、さてどうしようかと私は考え込んだ。ウルルに外に遊びに行くと言った時だって、特に予定があったわけではなくてウルルにこの辺りを案内してもらいたかったのだ。私一人の足で行ける範囲なんて高が知れている…。キョロキョロと見回したって、私の視界の限りに遊べそうな場所は見当たらない。せいぜいこの広場くらい?ちょっと向こうにアスレチックとかがあったりして、親子連れもいっぱいいるみたい。 世界を旅している間、色んな所で時々…というかしょっちゅう私とウルルは親子に間違われた。娘さんですか、可愛らしいですね。お嬢ちゃん、パパと旅行してるの? はい、そうです。平然と答えるウルルに私は何回も2人だけの時、親子じゃないって言ってと怒った。 いや…いちいち訂正するの面倒じゃないですか…。私がウルルの胸倉を掴むとウルルはさらに付け加えた。私とあなたの関係を他の人に納得のいくように説明できますか、国によっては家族でも知り合いでもない小さな子どもを連れ回しているのは色々面倒な事になりかねないんです。 あーあ、パートナーと本がないと術も出せないし、王を決める戦いを人間界でやるなんて不便ったらないわ。だけどガッシュちゃんとロマンチックな再会ができるというのは良い。きっとそこから更に私達の愛は情熱的なものになるのよ。 遊びに行くことを諦めた私は広場のアイスクリーム屋でありったけのアイスを買う事にした。ウルルから貰ったお小遣いを全部使ってやった。エヘヘ。 「全部食べきれるかい、ラヴィー。ああ、パパかママとでも一緒に食べるのか?」 アイス売りのおじさんに、そんなとこ、と答えておいた。ウルルに見つかるのがイヤだった私は、アスレチックのトンネルの中でアイスを食べた。しばらくここにいよう。 「うー…ん、と…」 集中して探してみたけど、この近くに魔物がいる感じはしなかった。これなら大丈夫ね。 ガッシュちゃんとのラブロマンスを想像していたらいつの間にか寝てしまっていて、気付くともう夕方だった。 私はトンネルから這い出した。あんなにいた親子達ももう姿を消している。アイス屋ももう店をたたんでいて、少し遠くから車の音が聞こえてくるだけ。 私ももう部屋に戻ろうかしら。でももうちょっとだけここにいよう。ウルルはたっぷり反省していればいいんだわ。 トンネルの近くにあったブランコに腰掛けていた時。 「パティ…ここにいたんですか…」 顔を上げるとウルルが立っていた。やっぱり迎えに来てくれた。 ブランコから跳び下りて、あらウルル、ちゃんと反省はした?と言おうと歩いていった私は、ウルルの顔がハッキリと見て取れる位置まで来た時ビクリと足を止めた。 きっと私をものすごく探し回ったのだろう、しかも走って。ウルルは汗びっしょりで、息もこっちまで苦しくなるぐらい切らしていた。眉もしかめている。いつも無表情に近いウルルのこんな顔が見れるなんて珍しい事で、それで私は あ、怒られるな、と思い、ウルルが手を動かしたときもぶたれるな、と思った。 だから私は、ウルルがガクンと膝を突き、両手で優しく、でもしっかりと私を抱き締めた事に、とても驚いたのだった。 「…心配した…ひとりで、何処かへ、行かないで下さい」 ウルルは片手を頭に回して私を抱き寄せた。 「そう遠くへ行ける筈も無いのに、何処にもあなたがいないものだから、…魔物に襲われでもしたんじゃないかと…」 「な…っ、バ、バカね、ウルルがちゃんと本持ってくれてるんでしょ?教われる確率が高いのはウルルの方だし、私が襲われたってウルルが本を持ってる限り消えたりしないわよ」 私は混乱した。はっきり言ってどちらかが魔物に襲われたとして、心配しなければいけないのは私の方だ。私はウルルよりもずっと体が丈夫だし、術が使えなくても自力で少しは反撃ができる。でもウルルは私がいない限り魔物相手にどうこうできるワケが無い。 違います、私が言うとウルルは首を振った。、 「私はどうなったって本を守るから良いんです、あなたが傷つくのが心配だったんだ…」 どうして。 どうしてそんな声で言うの。 殆ど反射的と言っても良かった。私は無意識にウルルの服をギュッと握った。泣きそうに震えるウルルの声がそうさせたのだ。 「あなたは全てに代えても、私が守りますから」 何かにすがりつくような声だったウルルが次に言った科白はあんまりにも優しい響きを持っていて、私は泣き出しそうになってしまった。 求め渇く花たちに焦がれ続けそしてもう失う事は無いように祈り続けていきましょう。 私がガッシュを初めて見たのはちょうどウルルとパティちゃんが初登場の回だったんですよ。 サンデーでは犬夜叉とかコナンとか改蔵とかしか立ち読みしてなかったんですが、その時巻頭カラーだったのでたまたまガッシュも見てですね。ガッシュのストーリーをカケラも知らなかった私はそれが初登場だっつーのにパティちゃんは1巻ぐらいからいるメインキャラで魔界の王女様か何かとか思ってました。そんでウルルは執事とかボディガードとかとにかくパティちゃんの従者だと思ってましタ☆ クスクス★ ウルルがパティちゃんに丁寧語使ってたからそう思ったんですNE。 で、そん時からウルルのこと「うわーこの人カッコエエなーステキだなーうわーうわー!!」と激しくトキメキ、執事だと勘違いしたまま読んでったらウルルが本を取り出して車を襲撃しました(妙な言い方) あらこの人魔法使いみたいな人なのかちらと少々混乱、パティちゃんの言葉でそんなことしたんで益々従者と思い読んでったらアナタ「700個は食べすぎだ」とタメ口じゃないスか!! 「え!? ちょっ貴方お姫様にそんな口利いていいのん!? あれ!? え、もしかして執事じゃない!?」と激しく迷いウルルにばっかり注目。 アーこの話の続きどうなるんじゃろーと思ってたのにサンデーでガッシュを立ち読みするのはそこでやめ、また読み出すのはLEVEL.111「泣き虫」になるワケですよ…そこで読むのやめんかったらパティちゃんのカラーもちゃんと見られたのにのう…(血涙) あ、え、後書き?うふふ特にコメントすることもないでッスV 強いて言うなら色んな矛盾所には目を瞑ってネということと私はウルルに勝手な妄想をしてるっていうことデス☆ 03.9.28 |